国際ロータリー第2720地区 熊本・大分

ロータリー財団奨学生中間報告 山崎 智美(2018年3月18日~2018年6月17日)

2018年07月03日

2017-2018 年度グローバル補助金奨学生
山崎 智美

 

第3回中間報告
(2018年3月18日~2018年6月17日)

1. 基本情報

カウンセラー(派遣側) 林明様(熊本江南ロータリークラブ)
カウンセラー(受入側) Mr. David Hirst(Rotary Club of Pocklington & Market Weighton)
教育機関・専攻分野 University of York(英国)、
MA in Post-war Recovery Studies(修士過程)

 

2. 学業面での成果

3月10日(土)〜4月15日(日)の春休みは、前期に受講した3科目の課題に取り組みました。元兵士のDDR(武装解除・動員解除・社会復帰)に関する論文、ウガンダでの給食センター設立に関する事業提案書、PKOの介入による現地社会への影響に関する論文の3本を前回の課題よりも早いペースで書き上げ、うち1本は76点という過去最高の成績をもらうことができました。また、私の専攻するコースでは、4月16日(月)〜6月8日(金)の夏学期は大学での授業はなく、代わりに戦後復興・開発に取り組む団体や組織でのワークプレイスメントが必修となっています。しかし、ワークプレイスメント先は生徒自らが手配しなくてはならず、春休みは授業の課題に加え、受け入れ団体探しに骨を折りました。以下では、ワークプレイスメントでの経験を中心に報告させていただきたいと思います。

 

2.1. ウガンダと難民

昔から「アフリカに行きたい」という思いを抱き、また、修士論文では難民問題をテーマに調査研究を行いたいと考えていた私は、東アフリカに位置するウガンダでワークプレイスメントを実施しました。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると、ウガンダはアフリカ最大の難民受け入れ国であり、難民に対して比較的寛容な政策を取っていることで有名な国です。難民キャンプ外での難民の移動の自由を制限したり、難民の就労の自由を認めなかったりする国が多い中、ウガンダ政府は難民居住地に定住する難民に対し、住居と耕作用の土地まで与えています。このような国際的評判の良い難民政策をとるウガンダで、難民として逃れて来た人々は実際にどのような生活を送り、国際社会はどのような介入を行なっているのかを自分の目で確かめるため、ワークプレイスメント先としてウガンダを選択しました。

 

2.2. ワークプレイスメント

私がワークプレイスメントを行なったのは、NSAMIZI-UNHCR Project(以下、NSAMIZI)という、UNHCR ウガンダの事業実施パートナーです。UNHCR はウガンダ政府と協力し、保健や教育を含む幅広い分野での難民支援を展開していますが、実際の事業は NSAMIZI のような事業実施パートナーに委託しています。NSAMIZI は、ウガンダ南西に位置するナキバレ難民居住地とオルチンガ難民居住地で、①水と衛生、②生計向上、③エネルギー、④環境の4分野の事業を委託され、実施しています。ナキバレはウガンダに最も古くから存在する難民居住地で、8ヶ国からの難民とウガンダ国民が生活しており、ウガンダで2番目に古い難民居住地であるオルチンガでは、3ヶ国からの難民とウガンダ国民が共存しています。ワークプレイスメント中、私は広報担当として実際に活動地に行って取材を取り、両難民居住地での NSAMIZI の活動内容を Facebook に掲載しました。国連機関であるUNHCRの事業実施パートナーでワークプレイスメントを行うことで、国連がどのように現地政府やパートナーと連携し、介入を行なっているのか、また、将来自身が国際協力の畑で働く上で、どのような資質や能力が必要となるかについて学ぶことができました。

 

2.3. 修士論文の調査研究

ワークプレイスメントと並行して、ナキバレ難民居住地で暮らす難民の男女を対象に修士論文研究におけるインタビュー調査を実施しました。UNHCR は世界の難民問題に対処するため、3つの恒久的解決策(①本国帰還、②庇護国における統合、③第三国定住)を展開しています。渡航前の先行研究では、ウガンダの難民政策に対するポジティブな見解が多く見られ、ウガンダを解決策②の成功国として取り上げている論文も複数ありましたが、実際の現地での調査結果はこれとかなり異なるものでした。ナキバレで生活する多くの難民はウガンダでの定住(解決策②)を望んでおらず、アメリカやヨーロッパ諸国などでの定住(解決策③)を熱望しているのです。主な原因はウガンダという国全体の低開発や就業率の低さで、実施したインタビューでは「ウガンダにいる限り自分は良い職に就くことができず、貧しいままだ」と回答する難民が多くいました。修士論文では、解決策②の枠内で難民がより良い生活を送るために、ソーシャル・キャピタル(人と人との結びつきや繋がり)の果たす役割や可能性について深めていきたいと思っています。

 

3. ロータリーとの交流

Rotary Club of Pocklington & Market Weighton の David 氏は、私のワークプレイスメントにつき、ウガンダでの滞在先から最寄りのロータリークラブである Rotary Club of Mbarara に連絡を取ってくれました。Rotary Club of Mbarara の代表である Allan 氏は、入国時には空港まで迎えに来てくれ、ウガンダ渡航中の様々な相談にも乗ってくれました。クラブの例会にも参加させてもらい、現地のロータリーの活動について学ぶ中で、その活発さに強く感銘を受けました。また、私がワークプレイスメントおよび修士論文の調査研究を行なったナキバレ難民居住地には、Nakivale Rotaract Club(https://www.rotary.org/en/rotaract-club-opens-refugee-settlement)という、世界で唯一の難民キャンプ内のローターアクトクラブがあります。代表の Paul 氏よりクラブの活動についてお話を聞かせてもらうと同時に、複数のロータリークラブの支援の元、Nakivale Rotaract Club が創設した洋裁師育成の学校なども見学させてもらえました。改めて、ロータリーのネットワークの力強さを実感させられるウガンダ渡航となりました。

 

4. 留学の様子(写真)

ロータリー財団奨学生中間報告 山崎 智美(2018年3月18日~2018年6月17日)

ナキバレの商店街

 

ロータリー財団奨学生中間報告 山崎 智美(2018年3月18日~2018年6月17日)

オルチンガのウィークリー・マーケット

 

ロータリー財団奨学生中間報告 山崎 智美(2018年3月18日~2018年6月17日)

ナキバレの未開拓地

 

ロータリー財団奨学生中間報告 山崎 智美(2018年3月18日~2018年6月17日)

ウガンダの食事

 

ロータリー財団奨学生中間報告 山崎 智美(2018年3月18日~2018年6月17日)

NSAMIZI のスタッフと

 

ロータリー財団奨学生中間報告 山崎 智美(2018年3月18日~2018年6月17日)

Nakivale Rotaract Club の Paul 氏(中央)と弟の Living 氏(右)と

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