国際ロータリー第2720地区 熊本・大分

グローバル補助金奨学生中間報告 田添 敦也(第3回)

2021年12月07日

2021 ~ 2022年度 グローバル補助金 奨学生
田添 敦也

 

第3回 中間報告書

1. 基本情報

カウンセラー(派遣側) 川﨑誠治 様 ロータリー財部門長(宇城RC)
カウンセラー(受入側) Judith Page(R.C of North Melbourne)
教育機関 University of Melbourne
専攻分野 地域社会の経済発展

 

2. 学業

11月は最終課題(エッセイ)ラッシュだったこともあり、一番忙しい時期だったのではないかと思います。大学時代のようにテスト形式で成績を評価するのではなく、授業で学んだことを現代のことに照らして合わせてクリティカルな考えをエッセイにまとめたものが、開発学の修士課程では評価の対象になります。3000-3500文字のエッセイが4つあり、取り組みにあたり膨大な量の論文を読んだり、ネットでリサーチをして深く研究していったので、正直とても大変でしたが、やり終えた今ではとても自信に繋がったと思っています。
少し簡単にそれぞれのエッセイでの研究トピックをまとめたいと思います。

 

  1. シェンダー問題

    発展途上国だけでなく、先進国においても女性格差は大きな脚光を浴びる問題です。Sexというのは生まれながらの性別のことだが、Genderというのは学校生活や人や社会との関わりを通じて形成されていくということがジェンダー学のアカデミック的な考えの一つです。私は、この考えを日本に反映させて、日本がジェンダーという観点で見た時に世界的に非常に大きな遅れをとっているのは、学校での教育そしてマスメディアを通じた日々の経験が大きな要因になっているとして、議論しました。例えば、日本の学校ではランドセルや上履きの色で男女の枠組みを作ってしまったり、各教科における先生の男女の割合は、家庭科は圧倒的に女性が多く、理数系は男性が多いなど、男性・女性間の進路を知らず知らずのうちに生徒に見せつけてしまう形になっています。教科書に出てくる女性キャラの多くが外で仕事を持たず、家事をしているなどの研究結果も出ており、このような隠されたカリキュラムが男らしさ女らしさをいつの間にか生徒に押し付けているのではないかと思いました。

  2. 社会的影響評価

    このトピックは日本ではあまりまだ浸透しておらず、代わりに環境影響評価などが知られているかと思います。大規模な開発プロジェクトをする上で、環境や社会にどのような影響が出るのか評価をすることは現地の人たちにとって非常に重要です。中でも、私はparticipatory approachと呼ばれる地域住民を巻き込んだ形のアセスメントについて研究しました。住民が参加することで反対運動が起こり、計画が進まないなどの反論を述べている論文もありましたが、多くの論文が住民が参加することで、開発プロジェクトが住民にとって信頼できるものになるだけでなく、どのような利益があって、どのようにネガティブなポイントを防げるのか気づくきっかけになることを述べています。今後は、この参加型のアセスメントが非常に大切になってくるのではないかと思いました。

  3. 資本主義と環境保護

    この授業及びエッセイのメインポイントは、人はどんな物事を考えるにしても、資本主義の枠組みの中で考えているということです。例えば、脱炭素や環境保護を掲げる会社や政策は現代では全く珍しいものではなくなっていますが、そのような政策は結局全てお金という利益を生み出すように作り出されているということです。ただ私は、これが全く悪いことだとは感じませんでした。多くの論文は資本主義が今までいかに環境破壊をしてきたかということに注目しています。しかし、利益を生み出すような仕組みを考え、それらを通じて環境保護に取り組むことができればより現実的で、高い効果を生み出せると思いました。

  4. 女性の貧困問題

    発展途上国などでは未だに女性差別が残っており、女性の貧困は深刻なものになっています。貧困を考える上で、元々は経済的なステータスを基準にすることが主だったそうですが、近年では貧困を測定する上でもあらゆる指標が使われるようになっているそうです。様々な視点から貧困を測定することで、貧困に苦しむ人々を見逃すことがなくなる可能性が高まります。例えば、授業で学習したのは、Capability Approachは、その人が長期的な人生を楽しく生きていく上で必要な機会が与えられていなければ、その人は貧困者であるとする考え方です。つまり、お金があるないに関わらず、教育の機会を与えられない、暴力に苦しんでいる、早期結婚を強いられるなども貧困のカテゴリーに入ります。こういった視点は女性の貧困を考える上では非常に重要な要素で、いかに多くの女性が経済的な理由以外で(もちろん経済的な理由も原因と一つとなっている)貧困に苦しんでいるのかということに気づきました。調べていて少し驚いたのは、period poverty(生理の貧困?)が大きな問題になっているということです。生理用品が少ないなどではなく、女性用のトイレが無い学校が発展途上国に多く、生理用品を取り替える場所がないため、女性は生理期間は学校へいくことができなくなってしまうなど、トイレ問題もいかに女性にとって取り組むべき問題かを気付かされた気がします。

今学期は4つの授業を受けましたが、どれもとても興味深いものでした。以下の写真は今学期最後のオンライン授業の一部です。写真があまり無くて申し訳ないです、、、

グローバル補助金奨学生中間報告 田添 敦也(第3回)

 

3. 受入ロータリーとの交流

今月はオーストラリアのロックダウンが解除されたこともあり、North Melbourneロータリークラブ様の活動がオンラインではなく、対面での実施できるようになったことから、参加はできておりません。オミクロン株の出現で現地では、またロックダウンになるのではないかと言われているそうですが、ロックダウンにならない限り、次の交流は現地に行ってからの交流になりそうです。

 

4. その他

つい先日、日本人の受け入れが始まりました!と、思ってアパートメントや飛行機の確保に動いていたら、オミクロン株の出現です…。なんの条件もなく行けそうでしたが、いくつかのコンディションが追加されるようです。しっかりと情報を見て、入国に備えて行きたいと思います。

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