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ロータリー財団奨学生中間報告 久我 弘典(2017年8月)

ロータリー財団グローバル奨学生
久我 弘典

 

 渡米して早くも8ヶ月が過ぎました。日本は厳しい残暑だと聞いておりますが、こちらは秋を感じさせる心地良い気候で暮らしております。渡米当時は慣れない大雪に戸惑ったこともありましたが、アメリカの環境にもだいぶ慣れ、大きなトラブルなく日々の生活を送っております。

 

 平成28年12月12日より、ジョンズホプキンス大学精神医学・行動科学部門の博士研究員として、精神疾患の予防と早期介入に関する研究を開始しました。留学先機関のジョンズホプキンス大学統合失調症センター(写真1;センターの仲間とサマーパーティにて)は、臨床、研究、教育、パブリックアウトリーチを柱に、基礎研究のベンチワークからベッドサイド、及び社会への発信にまで幅広く活動を行なっており、精神神経疾患の世界的拠点となっています。私の具体的な研究内容としては、First Episode Psychosis(初回エピソード精神病)の方を対象に、詳細な問診、血液検査、髄液検査、鼻粘膜の生検、脳画像検査、神経心理検査などを毎年行い、5年間追跡調査をします。現在、このプロジェクトが4年目ということもあり、私はこれまでの3年分のデータをもとに、どのようなリスクファクターがあり、どういう経過をたどっているのかを、精神科のみならず、放射線科とコラボレーションして脳画像検査を中心に解析を進めております。

ロータリー財団グローバル奨学生中間報告(2017年8月)

(統合失調センターの仲間たちとサマーパーティにて)

 

また、平成29年7月からは同大学の公衆衛生大学院の公衆衛生学修士課程(Master of Public Health: MPH)に入学しました。本公衆衛生大学院は世界最古の公衆衛生大学院で、U.S. News & World Reportのランキングで1994年以降常に全米トップを維持しています。公衆衛生とはどのような学問かと問われることがあるので、簡単に触れたいと思います。医療は、個人に対する個別の治療をすることが主体で病気をもった人々を減らすことが目的ですが、公衆衛生学は大まかに言うと、健康な人々と病気を持つ人々を比較してなぜ病気になるのかを考える(疫学)、もしそれが分かれば治療だけでなく健康な人々に働きかけて疾病の予防をする(予防医学)、健康な人々をさらに健康にできるのではないか(ヘルスプロモーション)、を追い求める学問になります。ロータリー財団の重点項目である「疾病予防と治療」においても、とても重要な学問になると考えております。私のクラスメート(写真2)は37カ国から235人の非常に多様性に富んだ仲間が集まっており、まだ始まったばかりでありますが、世界を肌で感じとても刺激的な毎日を送っております。

ロータリー財団グローバル奨学生中間報告(2017年8月)

(大学院のクラスメートとの集合写真)

 

私の受け入れ先であるCatonsvilleロータリークラブの方々には大変お世話になっております。Catonsvilleロータリークラブの地区定例会やCatonsvilleロータリークラブが所属する国際7620(Maryland and Washington D.C.)地区の会合、クリスマスや正月など個別のイベントにまで参加させていただいております。CatonsvilleロータリークラブのFacebookページ(https://www.facebook.com/rotaryclubofcatonsville/)にも掲載されておりますが、地区定例会に初めて参加した時の写真3(左から、当時のCatonsvilleロータリークラブプレジデントのMrs. Peggy Carr、国際7620地区ガバナーのMrs. Jimmei Gorski、Catonsvilleロータリークラブ国際委員長のMr. Brent Tolbert-Smith、私)を添付させていただきました。

ロータリー財団グローバル奨学生中間報告(2017年8月)

(Catonsvilleロータリークラブ地区定例会にて)

 

私が、このような素晴らしい環境で大学院の生活および研究をさせていただけるのも、日本の大分・熊本地区のロータリークラブ、米国Catonsvilleロータリークラブの方々を始めとした、皆様のご支援あってのことだと思っております。改めて感謝申し上げます。少しでもこちらで学んだことが精神疾患の予防と治療に役に立つように、今後も一層身を引き締めながら残りの大学院および研究生活に取り組みたいと思います。以上、簡単ではありますが、近況報告とさせていただきます。