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ロータリー財団奨学生中間報告 川合 菜月(第2回)

2025 ~ 2028 グローバル補助金
 奨学生 川合菜月 GG2577248

 

第2回 中間報告書(2025年11月1日 ~ 2025年11月30日)

1. 基本情報

カウンセラー(派遣側) 林 明様
R財団副部門長(熊本江南RC)
カウンセラー(受入側) Ms Dârini Vedarattiname (Westminster International R.C President)
教育機関 London School of Hygiene and Tropical Medicine
専攻分野 Epidemiology and Population Health (母子の健康‐栄養)

2. 学業面での成果,状況,予定等

博士課程が始まって2か月が経ちました。先月は「イギリスの博士課程とはどういうものか」を理解することに精一杯でしたが、今月は「博士課程の生活に慣れること」と「自分なりの研究ルーティーンを確立すること」を意識して過ごしました。教授との定期的な面談や専門領域のセミナーに加え、研究に必要なスキルを高めるための授業・研修も受講しながら、主体的に研究を進める博士課程の特性に合わせて、集中しやすい環境づくりや論文の読み方、タスク管理の方法など、先人の助言を参考に試行錯誤を重ねました。

その中で、論文は英文をただ読むよりも、1本につき1ページのイラストにまとめることで理解が大幅に深まること、週の始めに“Brain Dump”という手法で気になるタスクや研究上の疑問を書き出し優先順位を整理すると、月間目標の達成に確実に近づけること、そして週末に研究を進めると平日よりも格段に集中できることなど、自分に合ったスタイルを少しずつ見つけることができました。週末には他大学の奨学生の友人たちと図書館に集まり、1日籠もって課題や研究を進める日々も定着しています。

今季(9〜12月)の自身の目標は「探る・繋がる・整える」の三つであり、専門分野で活躍する学内外の研究者や実務家に私の存在を知っていただくため、世界各国の関係者とオンラインでのミーティングも実施しました。いずれの方々からも前向きなフィードバックをいただき、博士課程での研究に対する期待と責任を改めて感じています。来月にかけては、この2か月で生まれた多くのアイデアを整理し、研究の方向性を明確に「整えていく」段階に入ります。

現在は、海外で開催される学会に参加するための移動中に本レポートを執筆しています。学会では、研究分野の最先端の知見に触れるとともに、自身の研究が将来的にどのように社会へ価値を生み出せるのかについて、新たな視点を得たいと考えています。

 

3. 受入ロータリーとの交流

ロータリーの皆様との交流を重ねる中で特に心に残ったのは、ロータリーの理念である「奉仕の心」を行動で体現されている姿でした。せっかくロータリーの奨学生として留学しているこの機会に、私自身もこの精神を学びたいと思い、ロンドンのRotaractクラブが主催するボランティア活動に参加しました。

この活動は、ロンドン中心部の高級地域であるMayfairにある教会を拠点とし、周辺で生活するホームレスの方々へ食事や生活用品を届ける取り組みです。私を含む4名のRotaractメンバーで、11月の平日の夜に2〜3時間かけて実施しました。提供する品は、教会を訪れる地域の方々が持ち寄った手作りのケーキや温かい飲み物、簡単な食事に加え、寄付された衣類や衛生用品など、多くの善意によって支えられていました。

日常生活の中でロンドンではホームレスの方々を見かけることは多いものの、実際に話をする機会はこれまでありませんでした。そのため活動前は少し緊張もありましたが、Rotaractメンバーに声のかけ方や接し方を教えてもらいながら、徐々に会話を楽しめるようになりました。英語を話せない方、「日本の首相についてどう思う?」と興味深い質問を投げかけてくれる方、ベジタリアンだからと食事を丁寧に断る方など、さまざまな背景を持つ人たちと向き合う貴重な時間となりました。

ロンドンの冬は、美しいクリスマスのイルミネーションで彩られますが、その華やかさのすぐそばで、寒さの中で過ごす人々がいる現実があります。今回の活動を通じて、現地の社会課題に直接触れ、ロンドンという街が以前より身近に感じられるようになりました。ロータリーの理念を体験を通して学ぶことができた、非常に意義深い経験でした。

 

4. その他(留学先での出来事等)

10月末のサマータイム終了を境に、ロンドンは一気に冬の気配が濃くなりました。11月には市内各地でクリスマスのライトアップイベントが開催され、私もいくつか参加したいと思い予定を立てていたのですが、気づけば大学の研究室での業務に追われ、ほとんど足を運べずに月が過ぎていきました。来年は同じことを繰り返さないよう、この1年で研究をより計画的に進められるよう成長したいと感じています。

また、ロンドンの冬はSAD(季節性情動障害)が多いことでも知られており、日照時間の短さから、私自身も予防としてビタミンDを摂取しています。日本の冬のように、寒くても明るい空が広がる気候が恋しくなることもありますが、博士課程の生活では朝から夜まで研究に向き合うことが日常となり、実際には日が暮れる瞬間に気づかないほど研究室にいる日々です。意識的に朝の光を浴びることを心がけ、これを12月の小さな目標にしたいと考えています。

 

ロータリー財団奨学生中間報告 川合 菜月(第2回)

11月12日:ロンドン・ローターアクト主催のホームレス食事提供ボランティアに参加

 

研究室からの景色。少しでも陽を浴びるべく、窓際の机を確保しています。