ロータリー財団奨学生中間報告 川﨑 千祥(第2回)
2025年03月07日
2024 ~ 2025年度 グローバル補助金 奨学生
川﨑 千祥
第2回 中間報告書(2024年11月1日 ~ 2024年11月30日)
1. 基本情報
カウンセラー(派遣側) | 熊本江南ロータリークラブ |
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カウンセラー(受入側) | Rotary Club of Barnet |
教育機関 | London School of Economics and Political Science (LSE) |
専攻分野 | 平和構築と紛争予防 |
2. 学業面での成果,状況,予定等
皆様、こんにちは。2024/24年度グローバル補助金奨学生の川﨑千祥(かわさき ちひろ)と申します。London School of Economics and Political Science(LSE)で、ジェンダーの視点を軸に、平和構築と安全保障、国際開発について、専門に学んでいます。
LSEのキャンパスがクリスマスの装いに
・学業について
11月からはLSEでの学びも本格的に始まりました。今回は、特に面白いと感じている2つの授業について紹介します。
授業風景
【GI409 ジェンダー、開発、グローバリゼーションの概念的基礎】
この授業では、国際開発をジェンダーやフェミニズムの視点から掘り下げています。特に、関心を抱いている、ケア労働や国際移民動態といったテーマが取り上げられ、性別や人種、階級に基づく労働市場の構造について考察しています。授業中は、理論的な内容に少し圧倒されることもありますが、新しい知識を得るたびに「なるほど!」と腑に落ちる瞬間があり、その度に学びの楽しさを実感しています。
私は学部時代、香港大学への交換留学を経験したのですが、留学中にフィリピン人メイドが香港経済を支えている現実に目の当たりにし、ケア労働というテーマや、人種や階級、ジェンダーが交差する社会構造に関心を抱きました。現在は、その経験を深める形で、マルクスの経済理論や依存理論、ネオリベラリズムなどの多様な理論を使いながら、労働と資本の関係を分析しています。また、「なぜ人々は移動し、どのような仕組みがその動きを支配しているのか?」という問いを通じて、ジェンダー不平等を再考しています。
【GI425 ジェンダー・平和・安全保障入門】
の授業では、女性・平和・安全保障(WPSアジェンダ)を深く掘り下げています。紛争解決や平和構築における女性の役割について学ぶ中で、「女性を被害者としてだけでなく、積極的な参加者として捉える」という視点の重要性を再認識しました。講義やディスカッションを通じて、中東の紛争地で声を持たない人々について考える時間が増え、一人ひとりの声を拾い上げる平和構築の必要性をより強く感じています。
ジェンダー・平和・安全保障入門のクラスにて、ステークホルダー分析を行いました。
・学外の活動
学業の合間には、LSEの学生団体である「ソーシャル・イノベーション・ハブ」の活動に参加しています。この団体では、「戦略的パートナーシップとイベント運営リーダー」として役職を務めています。主な活動として、社会課題に関心を持つ学生たちを対象に、ソーシャル・アントレプレナーシップ(社会起業)の魅力を伝えるポッドキャストの企画・運営を行っています。学生たちに「どのように社会課題に向き合い、解決に向けた行動を起こすか」を考えるきっかけを提供できることに、やりがいを感じています。
また、学外活動にも積極的に取り組み、国際機関の採用イベント「International Development Day(国際機関デー)」に参加しました。そこで、採用担当者と直接対話する機会を得て、自分のキャリアプランをより具体的に考えるきっかけになりました。さらに、ボストンで開催されたキャリアフォーラムにも足を運び、多くの刺激を受ける充実した時間を過ごしました
・友人との時間
忙しい日々の中でも、友人との時間を大切にすることを意識しています。例えば、寮の仲間たちと巻き寿司パーティーを開きました。具材の調達には少し苦労しましたが、日系スーパーで材料を揃え、持参した炊飯器を使って心を込めて準備をしました。友人たちに「初めて食べたけど、とてもおいしい!」と喜んでもらえたことが、とても嬉しかったです。
寮の仲間たちと巻き寿司パーティーを主催
また、同じ寮に住むロータリー奨学生たちと「Thanksgiving (感謝祭)」をお祝いするの夜ご飯を 一緒に作り、互いの文化を共有しながら楽しい時間を過ごしました。
同じ寮に住むロータリー奨学生たちと「Thanksgiving (感謝祭)」をお祝いしました
3. 受入ロータリーとの交流
11月には、Rotary Club of Barnet の皆様にお声がけいただき、地元バーネット地区で開催され たクリスマスフェアに参加しました。このフェアは、地域の人々が一堂に会し、ホリデーシーズンの温かさを共有する素敵なイベントです。私はロータリーのブースにて、イギリスのクリスマス定番であるミンスパイとムルドワインを作るお手伝いをしました。
バーネット地区で開催されたクリスマスフェア
このような非公式の場でカジュアルにお話しするのは初めてだったため、少し緊張していましたが、ストールでミンスパイの準備をしたり、ムルドワイン用の柑橘類を切ったりしながらお話しすることで、ロータリー財団の方々と自然と打ち解けていきました。会話の中では、イギリスのクリスマス文化やロータリー活動について多くのことを学ぶことができ、特に「ロータリーの精神」が地域に どのように根付いているのかを実感しました。
ムルドワイン用の柑橘類をひたすら切ります
特に印象に残ったのは、あるロータリーメンバーの方が「このフェアは、地域の人々とつながるために欠かせないイベントなんだ」と話してくださったことです。その言葉を聞いたとき、私もこの地域の一員として迎え入れられているような気持ちになり、ロンドンの地への親しみと愛着がさらに深まりました。
フェアには多くの地元の方々が訪れてくださり、温かいムルドワインを片手にミンスパイを楽しむ笑顔が印象的でした。「本当においしい」「これで寒さが吹き飛ぶわ」といった言葉をいただくたび に、私自身も心が温かくなりました。さらに、この売り上げがすべてチャリティに寄付されると知り、自分が少しでも貢献できたことにとても嬉しい気持ちになりました。